大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

福岡高等裁判所 昭和24年(つ)1215号 判決

被告人

岩本栄太郞

主文

原判決を破棄する。

被告人を罰金五千円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金弐百円を壱日に換算した期間だけ、被告人を労役場に留置する。

押收物件中、チョコレート色皮製短靴(男物)八足(証第壱号)、赤皮製男物短靴弐足(証第貳号)及び赤皮製女物短靴壱足(証第参号)はいずれもこれを沒收する。

訴訟費用は全部被告人の負担とする。

理由

弁護人植田夏樹の控訴趣意第一の(2)について。

原判決は判示第三の事実として、被告人は営利の目的を以て、男子靴(價格査定未了品)一足を法定の統制額より金三千二十二円五十銭を超過した代金三千八百円で販売したとの事実を認定し、これに対して物価統制令の当該法条の外、昭和二十三年十月二十九日物価庁告示第一、〇八九号を適用しているが、同告示によると判示靴の統制額は、金四百七十七円五十銭となるので、その超過額は金三千三百二十二円五十銭であるにもかかわらず、原判決が前記のとおりその超過額を金三千二十二円五十銭と判示したのは、判示物品の販売價格の不正超過額を算定するに当り誤算をし、その差額に相当する数額だけ過少に認定した違法があるけれども、右誤謬を是正すると超過額は原判決の認定額よりも大となつて寧ろ被告人に不利益な事情を招來するし、その誤謬自体軽微であり勿論それは犯罪の成否に何等の関係がないことが明白であるから右の違法は未だ原判決を破棄する理由とするに足りないものといわねばならぬ。論旨はいずれも採用し難い。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例